【アメリカの高校生が学んでいる お金の教科書】アンドリュー・O・スミス 訳:桜田直美 SBクリエイティブ株式会社
仕事やキャリアについて、どう考えるべきなのか、ぜひ役立ててほしい!
キャリア
自分のキャリアが最終的にどうなるのかを予測するのは難しい。
大体の方向性を決めて、それに沿った正しい決断をすることが大切だ。
仕事や環境の変化により、将来転職する可能性も高くなるだろう。
将来やってくる「変化」を見据えたキャリアプランを考えよう!
人的資本
- 知識
- 経験
- 人脈
- スキル
仕事に必要なスキルや能力を見つけることで、自身の生産性が高まる。
雇用主にとって価値のある存在になることができる。
職業をベースにしたキャリアを歩んでいる人は、人的資本がしっかりしていれば、勤先が変わっても立派に通用するので、キャリアアップのための転職を望むことができる。
業界をベースにしたキャリアであっても、人的資本がしっかりしていれば、同じ業界内でステップアッツしていくことができる。
しっかりした人的資本を手に入れたいのであれば、最初の投資は教育とトレーニングだ!
キャリアに関する教育やトレーニングは、就職して終わりではなく、働く限りずっと続けていかなくてはならない。
学ぶのをやめなかった人は、大抵キャリアで成功して稼げるようになっている。
複数の職業で応用できる実用的なスキル
- マーケティング
- ウェブサイトを作る
- 基本的な簿記のスキル
さらに、興味のある業界の中から関連する仕事をひとつかふたつ選びそれに集中する。
教育、トレーニング、経験、学ぶ姿勢によって、常に「雇いたい」と思われる労働者にならなければならない。
人を雇うメリットとリスク
会社が人を雇うのは、会社の利益を生み出すように働いてもらうためだ!
従業員が生み出す価値は、従業員を雇うコストよりも高くならなければならない。
雇用主が労働者を求めることを労働力の需要と呼ぶ。
労働者が働き口を求めて他の労働者と競争していることを労働力の供給をいう。
この需要と供給のせめぎ合いによって労働力の市場価値が決まるという仕組みになっている。
恒常所得仮説
人々が生涯で使うお金は、給料などの恒常的な所得で決まるということを恒常所得仮説という。
ずっと会社に勤めているなら、給料は引退するまでもらえるものと考えられる。その安定した収入が期待できる人は目先の収入だけでなく、生涯を通じた収入に基づいて消費行動を決めることになる。
生涯所得を決める最も大きな要素は、どんな職業を選ぶかということだ。
報酬の額を決める要素
- 仕事の難しさ
- その仕事の生み出すものの需要
- 仕事の働き手が多いか少ないか
- その仕事をしたい人がどれくらいいるか
- その仕事に必要な教育、トレーニング、経験
自分の仕事で経験を積み、能力も上がってくると、それに従って報酬も増えていく。
何のために働くのか
キャリアで成功を目指すのは、お金だけが目的ではない。
人生の大部分を仕事にささげ、人付き合いも仕事関係の人が多くなってくる。
心の健康状態も仕事で決まるといってもいい。
仕事を決めるのは自分の人生にとって、とても重要なことだ!
仕事や、業界について、雇用主についてもよく調べなければならない。
報酬と福利厚生
正当な理由もなく解雇するような雇用主は滅多にいない。
大抵の企業には従業員を守る制度があり、職場の差別を禁じる法律がある。
就職先が決まったら、自分の雇用条件を真っ先に確認しておこう。
○報酬の額
交渉の余地もある。昇給に値する働き方をしているのであれば、面談で上司に交渉しよう。
○いつから働くか
引越しが必要なのであれば、時間が必要と考えるかもしれないが、引っ越し代を払うから今すぐ働いて欲しいと思っているかもしれない。
○休日
夏季や冬季の長期休暇、病気休暇、有給休暇も確認しておこう。
○福利厚生
インセンティブ、ボーナス、年金、健康保険、休暇なども確認しておこう。
会社を退職するとき
思っていたのと違った、自分に向いていなかったと思う会社に就職してしまうこともあるだろう。
そういうことも経験なので、「自分にできないことを発見できた」と思っていい。
転職を目指すのであればよく考えた上で、決心してから上司に報告する。
いきなり辞めるのではなく余裕を持って伝えることが最低限の礼儀。
辞めるときも円満退社が望ましい。
もしかしたら、後になって自分の助けになる時が来るかもしれない。
インターンシップ
インターンシップとは仕事や企業を体験するために短い期間だけ働くことができる制度のこと。
インターンシッププログラムを選ぶ基準は、まずインターンにどんな体験を提供するかについて明確な目標があること。そして組織の様々な仕事を体験する機会が提供されていること。
インターンシップのメリットは、実際に働く前に、その仕事や会社を体験できるということだ。
メンター
メンターとはキャリア、人生経験、人格など、尊敬できる要素を持っていて、長期にわたってあなたを人間的にも職業的にも導いてくれる人のこと。
自分ひとりの力でキャリアを確立するのは難しい。そのため、キャリアでの成功を体現しているお手本の存在は大きな助けになる。
自分よりはるかに成功している年上の人に「メンターになってください」と頼むのは気がひけるかもしれない。しかし、実際は彼らのほうも、若い人を指導したいという熱意を持っていることが多い。だからとにかく頼んでみることが大切だ。
信頼できるメンターがいることはキャリアを通じて大きな助けになるだろう。
レファレンス
企業は誰かを新しく雇う時、その人の能力や仕事ぶりなどを直接知る人に連絡して、履歴書の内容が正確かどうか確認することがある。その時に情報を提供する人がレファレンス。
つまり、前職の同僚や上司で、地位が上の人ほど信頼できるレファレンスとして認められる。
仕事を続けていれば自然と人脈も広がっていく。その過程で、一つの職場でひとりかふたりずつ、将来のレファレンスになってくれそうな人を見つけておくといいだろう。
個人事業主
個人がひとりだけでビジネスを行うこと。
清掃サービス、家庭教師サービス、職人、パーソナルトレーナー、庭師などは大抵の場合個人事業主。
法人化などの特別な手続きをしないのなら、個人でやるビジネスは法律上全て個人事業主となる。
個人とビジネスの間に、財務状の区別は存在しない。ビジネスの借金は個人の借金であり、ビジネスの資産は個人の資産。ビジネスの確定申告は、個人の確定申告となる。
ゼネラルパートナーシップ
ふたりかそれ以上の人が共同でビジネスを経営する場合はゼネラルパートナーシップという形式をとることが多い。
法律事務所や、会計事務所、投資銀行の多くが、ゼネラルパートナーシップだ。
参加者同士で、合意書を取り交わす。合意書には意思決定の方法、それぞれの出資額、利益の分配方法などが書かれている。参加者同士の立場は完全に平等でなくても構わない。
ゼネラルパートナーシップでも個人とビジネスの間に財務上の区別は存在しない。
このように個人の責任とビジネスの責任を区別しない形式を無限責任という。
リミテッドパートナーシップ
ビジネスが破綻しても事業主や株主の個人的な資産は守られる形式のことを有限責任という。
無限責任と有限責任を組み合わせたリミテッドパートナーシップ(LP)という形式もある。
最低ひとりのパートナーが無限責任を負い、その他のパートナーはビジネスに投資した額だけ責任を負うという形になっている。
会社
会社は有限責任の組織。
会社を設立するには、数々の正式な手続きが必要だ。
登録された会社は法律上「法人」となり、契約を結んだり、お金を借りたり、出資金を集めたり、裁判を起こしたり、反対に裁判を起こされたりする。
法人による行動は、株主や経営者に直接的な影響を及ぼさない。会社が行うビジネスにおいては、オーナーである株主は有限責任を負うことになる。
事業計画
企業で必要なことは、ビジネスプラン(事業計画)だ。
将来の顧客、従業員といったすべての利害関係者にこのビジネスプランを見せて自分のビジネスを理解してもらう必要がある。また融資や出資の交渉や経営方法の確認に使うことができる。
ビジネスプランの内容
- 製品とサービス
- マーケティング
- 競合相手
- 製品やサービスをどうやって届けるか
- サプライヤーとカギとなるインプット
- 物流とロジスティクス
- 資金調達
- 認可と規制
- 財務計画
- まとめ
製品とサービス
自分のビジネスが成功する理由を説明する。同時に考えられるリスクやチャンスも分析する。
マーケティング
製品たサービスのターゲットは誰なのかどういう動機でその製品やサービスを購入するのか。どのようなニーズを満たすのか。商品を知ってもらうにはどうするか。価格、特徴、広告、プロモーションはどうするか。
競合相手
市場勢力図はどうなっているのか。どうやって競合と差別化するのか。
製品やサービスをどうやって届けるか
製品やサービスをどのように生み出し、どのように消費者に届けるか。
製品の原材料の集め方、製造方法。自分たちで作るのか外部委託するのか。
サービスは誰がどのように提供するのか。会計、人材、テクノロジー、事務など。
サプライヤーとカギとなるインプット
そのビジネスに絶対に必要なもの、欠かせないものはどうやって手に入れるのか。
サプライチェーン・パートナーを見つけ、必要なものを確実に入手するシステムを確立する。
物流とロジスティクス
製品やサービスを顧客に届けるまでの道筋を明確にする。
資金調達
出資者、友人、家族からの出資、クレジットカードのローンなどで集めた資金はいくらになるのか。
自分のビジネスに投資してくれる投資家、ベンチャーキャピタル、金融機関の名前をあげる。
認可と規制
地元自治体や国の規則を調べ、どんな規制があり、どんな認可が必要なのかを確認する。
安全基準、健康基準、環境基準、雇用規制について扱い方を確認する。
財務計画
5ヶ年の財務計画を作成し、起業から初期段階までの損益計算書、バランスシート、キャッシュ・フロー計算書も添付する。出口戦略も考慮する。
まとめ
ミッションステートメント
ビジネスの要点をひとつかふたつの文でまとめたもの
エグゼクティブサマリー
ビジネスプランの各項目をひとつかふたつの文でまとめた1ページの資料
フランチャイズビジネス
フランチャイズビジネスは、本部となる「フランチャイザー」と加盟店となる「フランチャイジー」が契約を結び、加盟金(ロイヤリティ)を支払うことで、商標の使用権や商品・サービスの販売権を得られる仕組みになっている。
フランチャイザーは通常、明確なビジネスのコンセプトをもち、強固なブランドを築いて、全国規模で広告を展開している。ベンダーとサプライヤーのシステムも確立されていて、店舗のデザインや出店する場所のアドバイス、開店のサポートも提供される。
フランチャイジーは開業後も、フランチャイザーから継続的な支援が受けられる。
副業
副業は本業の他に空いた時間で稼ぐことができる。
自分の得意なことを引き受けてビジネスをすることができる。
副業を始めるのであれば、LLCを設立して有限責任にしておくことで、何か問題が起こった時に自分の資産を守ることができる。
また、規制や法律もきちんと確認しておく必要がある。
副業は収入を増やしてお金の安心を手に入れるいい手段だ。
副業がうまくいって、将来の新しいキャリアになるかもしれない!
不動産
不動産はビジネスとして人気を保っている。
その理由は、入手しやすいこと、理解しやすいこと、資金調達の方法がいろいろあること。
不動産業界は、住居用不動産、事業用不動産、産業用不動産がある。
そして、ディベロッパーになるか、オーナーになるか、管理人になるか、3つの方法がある。
○ディベロッパー:土地開発のアイデアから資金調達、実際の建設までを行う。
○オーナー:投資家であることが多く、所有する不動産の運営で限られた役割を担うことになる。
○管理人:不動産の維持管理や、運営をする。
最初の物件選びだけに労力を注げば、あとは基本的にはそれほど手間がかからないのが魅力だ。
資金調達のやり方
どのビジネスもお金が必要だ。そのビジネスで使うお金は資本という。
デッドファイナンス
借金で資金を調達すること。
債権を発行し、決められた期日までに決められた利息をつけて返済する。
エクイティファイナンス
会社の自己資本。株式で資本を調達する。
景気
世の中の景気や経済情勢はビジネスに大きな影響を与える。
一般的に経済とは、お金、ビジネス、雇用、支出、貯蓄、投資、生涯に関わるすべてのことがどういう状態になっているのかということ。
良好な経済は、生産、消費、貯蓄、投資のすべてが活発に行われること。これを経済活動と呼び、経済活動が活発に行われば、雇用が増え、給料が上がり、ビジネスの利益も増える。
良好な経済は、生産、消費、貯蓄、投資のすべてが活発に行われること。これを経済活動と呼び、経済活動が活発に行われば、雇用が増え、給料が上がり、ビジネスの利益も増える。
悪い経済の場合は、経済活動が停滞し、ビジネスが儲からなくなり、会社も倒産する。そうなると、雇用が減り、失業者が増え、人々は生活に困るようになる。
国境を超えたビジネス
保護主義は、政府が国内で生産されたものを優先し、外国の製品やサービスの輸入を難しくすること。
一方、自由貿易は、政府の規制をなくし、製品やサービスの輸出入が自由にできる制度のこと。
国際市場を相手にするビジネスをしようとするのであれば、各国の方針を分析する必要がある。
どんなビジネスでも、国境を超えて製品やサービスの売買をするなら、外国為替の取引が必要になる。
両替にも手数料がかかる。
ビジネスが貿易で同じ通貨を使うことで、「為替リスク」を避けられる。世界で事業を展開するビジネスの多くは、本拠地に関係なくアメリカのドルを取引に使っている。EUでは、ユーロという統一通貨が使われている。
為替リスクとは、持っている外国の通貨を自国の通貨に両替した時に、価値が下がってしまうこと。
契約
契約とは二者かそれ以上の当事者による合意のこと。
買い物も、携帯のキャリアも保険も賃貸もすべて契約の元成り立っている。
契約を結ぶと義務が生じる。
そして契約を結ぶすべての当事者は契約によってお互いに何か価値のあるものを交換することになる。
書面にすることは絶対の条件ではないが、口頭の契約を証明するのはとても難しいので、契約を結ぶならきちんと書面にしたほうがいい。
契約を守らなかった場合は、契約違反したと判断され、契約違反をすると、訴えられて損害賠償を求められることもある。
契約に違反した当事者は、他の当事者に対して法的責任があるので、契約違反によって生じた何らかの損害に対して責任を負っているということになる。契約違反によっていずれかの当事者が精神的・肉体的な苦痛を経験した場合、法廷はその苦痛に対する賠償金も命じられる。
有形財産と無形財産
財産とは何らかの価値のある個人の持ち物のこと。
金融資産、家、家財道具など全てが財産となる。
有形財産とは形のある財産のこと。無形財産とは、物理的な形のない財産であり、例えば商標などがそれに当たる。
財産はすべて、法律によって持ち主の権利が認められている。あなたの財産はあなたのものであり、法的な根拠がなければ誰であってもあなたから財産を奪うことはできない。
財産は「不動産」と「動産」に区別される。
不動産は土地や建物で、動産は不動産以外のもので有形も無形も含まれる。
財産の所有権に関する基本的な決まりは、他人の財産を許可なく使用することはできないというものであり、財産の形態に関係なく、すべての財産に適用される。
知的財産
何らかのアイデアを表現することによって生まれた財産は「知的財産」と呼ばれる。
アイデアは言葉、音楽、映像、発明、ソフトウェアのコード、数式といった形で表現される。
知的財産権には、「著作権」、「商標権」、「特許権」がある。
著作権
著作権が適用される知的財産は、詩や小説などの文章、音楽、写真、絵画、映画、映像、ラジオ放送、テレビ番組、ライブパフォーマンスなどがある。
著作権で保護される作品は許可なく複製することが禁じられている。
商標権
ビジネス上のブランドを表現したイメージやシンボル、言葉のことを言う。他のビジネスと区別し、独自性を際立たせるのが目的である。
ロゴやマークが商標として認められるには、商標で使用するという条件がある。
特許権
特許として認められるのは、新種の植物、新しいデザイン、新しい利便性のうちのどれかで、「新しさ」と「役に立つ」が重要である。
特許が認められるには、発明品の構成や作り方を詳細に説明した文書を提出し、全世界の人が見られるようにしなければならず、20年が経過したらすべての人が使用できるようにしなければならない。
特許を使わずに秘密によって自分の知的財産を守ろうとすることもある。そのため企業は従業員と秘密保持契約を結ぶ。
知的財産には価値があるということだ。
まとめ
キャリアは人それぞれ異なる。
雇われるのであれば人的資本を高めることを努力する必要があるし、自分でビジネスを行うのであれば法律やルールをしっかり調べて違反のないように注意しなければいけない。
本業と副業をして、副業で自分のビジネスを行うという方法もある。
人生設計をし、よく考えて仕事を選ぶことで、充実した人生が送れるだろう。
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