【10秒で相手を見抜く&操る 心理術サクッとノート】監修者:神岡真司 出版:永岡書店
こんな人に読んでほしい
職場の人間関係に悩んでいる人。
上司や部下の指示に困っている人。
心理術を知って思うように人を操りたい人。
読んだ感想
心理術によって、自分も他人も大いに動かされているんだということがわかりました。
知らず知らずに人に流されていたり、欲しくもない商品を買ってしまったりしていることも、心理術で説明がつきます。
上司から「無理だと思うんだけど、シフト入ってくれる?」と言ってお願いされて、「わかりました。入ります!」と受け入れたことがあります。反発心を利用して要求を通すという、心理術によって動かされていたんだと言うことが分かりました。言葉を少し変えただけで、相手が快く引き受けてしまうのは、双方にとってもよい、テクニックだなと思います。
人によって何を報酬としているかが異なることもあり、指導、指示する人は大変だなと思いました。
同時に、心理術を学べば、他者を思い通りにできるのかもしれないと感じ、恐ろしいなと思いました。
自分がこう言う頼み方をされたら引き受けてしまうな、こういう言われ方だったら断るなというのがわかることで、自分の性格もわかったので面白かったです。
心理術とは
心理術は、人間関係を円滑にする最強のツールです。
自分の感情の整理や、相手の気持ちを読み取るのに役立ちます。
相手の気持ちがわからない…
人前だと緊張してしまう…
落ち込むとずるずる引きずってしまう…
などの悩みを、心理術で解消しましょう。
心理術を知っておくだけで、自分の行動や、相手の心理について理解することができ、悩みや不安が解消できるようになるぞ!
人を動かす 5つの 行動原理
人間の行動には、心理的な法則性があり、毎日これに従って行動決定をしています。
これを心理学では、行動原理と呼んでいます。
相手の心理を見抜いて、『円滑にコミュニケーションを取りたい』『相手を操りたい』と思ったらこの行動原理の知識が不可欠です。
大原則として、人は「快か、不快か」という感覚で行動決定しています。
これをもとにそれぞれの原理の理解を深めてみましょう。
利得最大の原理
人は、自分が得するようなことがあれば、可能な限理それを得ようとします。
これを利得最大の原理といいます。
何か行動する際、損することを避け、得になることを選択します。
返報性の法則
利得最大の原理により、人は利益になる行動を選択する傾向があります。
しかし、仮に1人で利益を独占できる状況になると、今度はそれを心地よく感じれられなくなります。
一方的にものを与えられると、罪悪感を覚えるので、「お返しをしたい!」と思います。
これを返報性の法則といいます。
お返しができないほど与えられ、得をしてしまうと、最終的には相手に対して憤りを感じてしまいます。
このような罪悪感や、心苦しさを、心理的負債と言います。
また悪意の返報性もあり、悪意に対してもお返しをしたいと思ってしまいます。
類似性の原理
人は、共通の趣味を持った話の合う相手や、考え方が似ている相手と一緒にいると安心感を得ます。
自分と同じ意見の相手と一緒にいることで、自分も正しいと思えるからです。
これを類似性の原理といいます。
価値観の合わない人と、一緒にいると、自分を否定されされるかもしれず、不快感を抱くこともあります。
公平性の原理
利得最大の原理がありますが、一人ひとりが、自身の利益のみを追求することはできません。
それでは社会集団が成り立たなくなるからです。
公平的に分配されないと、人間関係の悪化と崩壊を招くことになるので、円滑なコミュニケーションを保つには公平性が重要になってきます。
社会的証明の原理
たくさんの人がやっていることは正しいと思い込む心理のことです。
これを社会的証明の原理といいます。
例えば、たくさんの人が並んでいる飲食店を見ると、あの店は美味しいのだろうと思ってしまいます。
振り返ってみると、自分にも思い当たることがあったのではないでしょうか?
行動の根幹を知っておくことで、流されずに自分の判断で行動することができるようになるでしょう。
人の行動の心理術
行動原理を知った上で、さらに行動の心理について学んでいこう。
心理学用語と、その意味を簡単に紹介していきます!
モデリング
他人の行動と同じような行動をとってしまうこと。
カリギュラ効果
禁止されることで、興味が出てきてしまう心理のこと。
「やっちゃだめ!」と言われると、やりたくなってしまうのはこの心理によるもの。
公表効果
ネガティブな言葉を口にすることで、ネガティブな気持ちになってしまう。
逆に、ポジティブな言葉を口にすることで、ポジティブな気持ちになる効果のこと。
印象の心理術
印象はどのようにして相手に伝わるのかが分かれば、
何を注意するべきかが、わかってくるぞ。
ステレオタイプ効果
初対面の人の第一印象を、見た目で判断して決めつけてしまうこと。
初頭効果
初対面の時に抱いた第一印象が、強く残ること。
自分の抱いた第一印象を、正しいと思い込もうとする。
認知バイアス
自分にとって都合のいい思い込みで、論理的な評価や思考が歪められる現象のこと。
プライミング効果
最初に与えられた記憶が、後々のことに影響を及ぼすこと。
ハロー効果
その人の持つ一部分が、際立って優れていると、全体もいいと思い込んでしまうこと。
>見た目がきちんとしている人は、仕事もできると思い込む。
その反対で、ネガティブハロー効果もあり、一部分が劣っていると、全体も劣っているように感じてしまう。
>良く寝坊する人に対して、「きちんと責任を持って仕事をしてくれないのでは?」という印象を、抱いてしまう。
拡張自我
内面にある『自我』だけでなく、服やアクセサリーなど、外側のものも自分と捉えること。
>パーティーなどに参加した際、周りの人よりカジュアルな格好をしてしまっていると、おどおどしてしまう。これは、他人からどう見られているかよりも、自分で自分のことを「劣っている」と感じてしまうから。
気分を上げたいときは、洋服や腕時計、バッグなど高価なものを身につけることで、自己評価も高まり、自信につながる。
ユニフォーム効果
特別なユニフォームの着用によって他者を信用させたり、存在感を感じさせたりすること。
医師や、警察官、バスガイドなどの制服もその一例で、職種的なイメージだけでなく、安全だと言う安心感も与える。また、警察官に対して威厳のような圧迫感を感じるのもこのため。
人の心理は、相手の服装によって大きな影響を受けている。
印象を変えるテクニック
相手に与える印象も、心理術を使うことで、操作できてしまうぞ!
両面呈示
あることについて、その良い面と悪い面の両方を伝えること。
何かの説明をするときは、両面呈示をすると信頼される。
ミラーリング
意識的に、相手の行動や仕草を真似して、「相手を受け入れている」ということを、無意識に伝えるテクニック。
これによって、相手は、親しみを持ってくれるようになる。
相手があなたの動きと似た動作をする、クロスミラーリングが起これば、両者の間により強い親近感が生まれたといえる。
ペーシング
相手の態度や、言動、感情に無意識に同調することを、ペーシング(同調行動)という。
相手の言った通りに言い返すと、相手は安心し、自分が受け入れられていると感じ、好印象を抱く。
反対に、意図的に同調行動をとらないようにすると、相手はコミュニケーションが遮断されたような気がして、むしろこちらの態度と言動にペーシングしてくることがある。これをディスペーシングと言う。
ゲイン・ロス効果
マイナスの印象を持たれた後に、プラスの印象を与えることで、相手に好印象を抱かせる。
ギャップ効果
相手が抱くイメージを裏切る、意外性で、好感度を高めること。
相手が、自分に抱いているイメージにはない、良い面を見せると、そこから生まれる『意外性』によって好感度がアップする。
ギャップ効果を使うためには、まず、自分が相手から「どう思われているか」を確認することが重要。
ウィンザー効果
第三者を介して、信憑性を高めること。
第三者を介した情報や噂話の方が、直接伝えられるよりも、信憑性が高くなり、伝えた人も好印象になるという心理効果のこと。
特に、人を褒める時に有効。
自己開示
自分のいいところや、ダメなところ、秘密なども含めてありのままに伝えてしまうことを、自己開示という。
自己開示をされた相手は、信頼してくれているからこそ、打ち明けてくれるのだと感じ、親しみを覚えます。
秘密を共有することで、親密性を強めることができる。
自己呈示
自己呈示は、意図して作った情報だけを伝えて、自分の印象を良くしようとすることなので、自己開示とは異なります。
モスコビッチの方略
初めは無下にあしらわれてしまったとしても、自分の意見を曲げずに主張し続けると、やがて周囲がその意見が正しいのではないかと感じ始める。
その人に経験や、実績がなくても、一貫した態度を取られると、周囲は影響を受けてしまう。
商品販売の心理術
自分や人の印象だけではなく、商品の印象の与え方も心理術によって変えることができるぞ!
伝え方で、相手に与える印象が変わるので要チェック!
人の行動原理と合わせてみると、人が心理術によって行動を起こされていることがよくわかる。
コントラスト効果
無意識に複数のものを、相対的に比較してしまう心理現象。
>スーパーで、商品を「買うか、買わないか」判断するとき、量や値段など無意識に比較している。
限定希少価値効果
「今、手に入れないと損をする」と思ってしまう心理。
『今だけ』『限定』『残り5個』と言われると、つい買ってしまう。
フレーミング効果
伝え方を変えて、相手の思考の枠組みを変えること。
>「含有量1g」よりも「含有量1000mg」の方が多く含まれているように感じる。
仕草の心理術
仕草を見ることで、相手が何を考えているかがわかるようになるぞ。
嘘を見抜くときにも使える心理術じゃ!
自己親密行為
心理的安心感を得るため、自身の体を触ってしまう行為。
不安や緊張、不満などの表れで、安心感を得ようとして、無意識に自分の体を触ってしまう。
>話をしているときに、髪の毛を触ったり、耳を触ったりしている人。腕を組んでいる人など。
この自己親密行為が多い人ほど、甘えん坊であったり、わがままだったりする可能性が高い。
アイ・アクセシング・キュー
視線の方向で考えていることがわかるという心理術。
視覚聴覚などの語感で物事を感じ取り、処理をする過程で、視線がある一定の変化をするという論理。
- 正面から見て左上に視線:何かを考え出そうとしている。想像力を働かせている。嘘をつこうとしている。
- 正面から見て右上に視線:何かを思い出そうとしている時。記憶を探っている。本当のことを言おうとしている。
- 正面から見て左下に視線:熱さなどの感覚や、嬉しい、悲しいなどの感情を思い出そうとしている。
- 正面から見て右下に視線:内部対話で、心の中で自問自答している状態。
お願い事を聞いてほしいときの心理術
仕事における上司、部下に対する仕事のお願い事や、カップルで相手にお願いしたいことがあるときに心理術を使うことで、受け入れてもらいやすくなるぞ。
ただし使い過ぎると、信頼を失ってしまうことになりかねないので、要注意!
アンカーリング効果
提示された特定の数値や情報が重石となり、判断に影響を及ぼすこと。
はじめに基準の数字を提示しておくことで、その後の交渉を、有利に進めやすくなる。
イエス・バット法
相手を安心させてから、自分の主張をすることで、意見を聞いてもらいやすくなる。
まず、相手の意見に賛成し、その後に、自分の意見を言う。
相手に反論したい時や、聞き入れてもらいにくいお願いをするときに有効。
誤前提暗示
与えられた選択肢の中で判断を下してしまうこと。
人はもっともらしい前提や、選択肢を与えられると、それ以外の選択肢があるにも関わらず、与えられた選択肢の中だけで、物事の判断を下しやすい傾向がある。
一貫性の原理
人は一度起こした行動を通したい(一貫した行動を取りたい)という心理が働く。
お願い事を引き受けた後に、またお願いされると、少々面倒なことでも引き受けてしまう。
一貫した態度を取らないと、がっかりされたり、信用を失ったりしてしまうと、無意識のうちに感じ取っているから。
フット・イン・ザ・ドア・テクニック
小さなお願い事をしてから、本当のお願い事をする。
誰でも承諾するような些細なお願いをしてから、次々にお願いを通す方法。
自分自身の態度や行動に一貫した態度を取らないと信用に関わるという心理を利用した、説得テクニック。
ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック
過大なお願いをして断られた後に、本当に通したい小さなお願いをする心理テクニックのこと。
相手が要求水準を下げて譲歩したので、こちらも譲歩しなければ申し訳ないと思う心理を利用する。
何度も同じ相手に使うと、信頼を失ってしまうので注意!
クライマックス法、アンチクライマックス法
結論を最後に持っていく正攻法の話し方を「クライマックス法」
最初に結論から入る話し方を「アンチクライマックス法」という。
クライマックス法は「起・承・転・結」と進むので、話をじっくり聞いてくれる相手の興味を引くことができる。
せっかちな相手や、上司への報告の際は、結論から話すアンチクライマックス法の方が適している。
ザイアンスの法則
人は知らない人に対して、攻撃的、冷淡になること。
お願い事は、よく知っている人にしたほうが、承諾してもらえる可能性が高くなり、よく知らない人には冷淡に断られる可能性が高くなる。
人は会う回数が多ければ多いほど好意を抱くので、まだ打ち解けていない人に対しては、会う回数を増やして、親密になっていくのが得策。
ピグマリオン効果
人は期待された成果を出す傾向があること。
教育や人材の育成・開発の分野で良く使われいる心理テクニック。
叱るのではなく、期待することで相手のモチベーションを高めることができる。
ブーメラン効果
命令をされると、やる気を削がれてしまうこと。
説得するつもりが、相手の反発を招き、逆効果になってしまう心理現象のこと。
エンハンシング効果
言葉の報酬でやる気を出させる方法。
やる気のある人(内発的達成動機の強い人)ほど、金銭的などの報酬よりも、言葉による報酬を与えられた方が、モチベーションが高まる。
フレンドリーテクニック
信義に固く、真面目で親切な「人格者」を演じることで、相手に「フレンドリーな人間関係を築けている」と思い込ませること。
この関係性が築けると、相手は頼み事に対しても、「ノー」と断りづらくなる。
マルチ商法や、セミナー商法などの勧誘でも用いられている心理テクニックなので、親しくなったからといって不要なものは買わないように注意しよう。
ランチョン・テクニック
人は楽しい食事の場では、否定的な気持ちにならない。
そのため、交渉でYesを引き出したいときは、食事をしながら行うといいとされている。
交渉は、食前や食後ではなく、食事中に行うのがポイント。
ローボールテクニック
ローボールとは“誘い玉”のことで、受け取りやすいボールのこと。
相手が取りやすいボール(好条件の要求)を受け取った後に、少し難しい高めのボール(不利な条件の要求)を投げると、それも受け取ってしまう傾向がある。
>「簡単な整理ちょっとだけ手伝ってくれる?」→「この重いロッカーを外まで運んでほしいんだ」
恋愛の心理術
恋愛にも心理術が活用できるぞ!
恋をしている人、好きな人に振り向いてほしい人など、
積極的に活用してみると進展があるかもしれんな。
吊り橋効果
不安や恐怖を共有した人同士は恋愛感情が生まれやすいという心理的効果。
不安や恐怖によるドキドキと恋愛によるドキドキを錯覚し、恋愛感情が生まれるため。
単純接触効果
接触回数が多ければ多いほど好感度が高くなる。
何度も見たり、聞いたりすることで、そのことに対して違和感がなくなり、安心感が芽生えてポジティブな印象を抱くようになる。
ただし、最初に悪い印象を抱かせてしまうと、逆効果になってしまうので注意しよう。
スリーパー効果
最初は疑っていても、時間が経つにつれて信用し始めること。
誰でも、信頼できない相手からの説得を疑ってかかるが、時間が経つにつれて、「信憑性が低い」という認識が薄れ、相手を信じ始める。
ゼイガルニク効果
話が盛り上がり始めた時に中断されると、早く続きが聞きたいと思ってしまうこと。
マッチング仮説
人は、自分の魅力と似た魅力を持っている人に惹かれる傾向がある。
>美男美女に対しては、告白したところで振られてしまうだろうと、諦めてしまう。
>かといって、自分の魅力よりも劣っていると感じる人に対しては、不釣り合いだと決めつけてしまう。
自分とマッチしているかを仮説した結果、自然と自分と似た人と結ばれる。
相補性の原理
自分と相手の相違点が明らかになると、お互いが相手に内面を補い合う関係になっていくこと。
同調傾向
良好な関係を築いている人同士の口調や、行動が、無意識のうちに似てくること。
ロミオとジュリエット効果
2人の交際に障害があることで燃え上がり、それが本当の愛情だと『錯覚』する現象。
>駆け落ちや、不倫、格差婚など、恋愛でよくみられる心理現象。
占いの心理術
バーナム効果
誰にでも当てはまることなのに、自分のことだと信じ込ませてしまう心理テクニック。
自分にとって都合のいい情報である時、情報が抽象的なものであるとき、情報提供者の評判や専門性などが高い時にこの効果が顕著に現れる。
「占い」はバーナム効果を使っている。
不思議な心理術
プラシーボ効果
何の薬効成分も入っていないものを治療薬だと言って与えると、一定の割合で、症状が回復する現象。
科学的にはメカニズムは証明されていないが、暗示作用、条件付け、期待に乗って、脳内物質の分泌に変化が起こることがあるとされている。
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