SDGsが生み出す未来のビジネス 水野雅弘 原裕 株式会社インプレス
こんな人に読んでほしい
・SDGsとビジネスの関係について学びたい人
・これからビジネスをしようと思っている人
SDGsについて詳しく知りたい人、SDGsに関わりたい人、少しでも社会のため、地球のために貢献したいと思っている人には、ぜひ読んで欲しい本です。
感想
SDGsについて詳しく理解することができました。
SDGsとビジネスの関係は深く、これからの社会のため、地球のため、未来のために、さまざまな努力をしていかなくてはいけないなと感じました。
個人でも、SDGsに対して努力している企業の商品を買うことで、貢献できるなと思いました。
できることから1つずつ、未来の地球のために行動していきたいと思います。
今後ビジネスをやる際は、本書の内容を視野に入れて展開していきたいと思いました。
SDGsとは
いつ:2015年9月
どこで:ニューヨークの国連本部で開催された『国連・持続可能な開発サミット』
193の国連加盟国により採択された合意文書「私たちの世界を転換する:持続可能な開発のための2030のアジェンダ」
その中に示された「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals)
理念:「誰ひとり取り残さない」
先進国も、発展途上国も、行政機関も、自治体も、企業も、NPO・NGOも教育機関も、そして個人にも共有する、全人類の共通目標
SDGs 17のゴール
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- 全ての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなにそしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤を作ろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平和と公正を全ての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
SDGsの5つのP
- 人間(people)
- 豊かさ(prosperity)
- 地球(planet)
- 平和(peace)
- パートナーシップ(partnership)
人間(people)
全ての人の人権が尊重され、尊厳をもち、平等に、潜在能力を発揮できるようにする。
貧困と飢餓を終わらせ、ジェンダー平等を達成し、全ての人に教育、水と衛生、健康的な生活を保障する。
豊かさ(prosperity)
全ての人が豊かで充実した生活を送れるようにし、自然と調和する経済、社会、技術の進展を確保する。
地球(planet)
責任ある消費と生産、天然資源の持続可能な管理、気候変動への緊急な対応などを通して、地球を破壊から守る。
平和(peace)
平和、公正で、恐怖と暴力のない、インクルーシブ(全ての人が受け入れられ参加できる)な世界を目指す。
パートナーシップ(partnership)
政府、民間セクター、市民社会、国連機関を含む多様な関係者が参加する、グローバルなパートナーシップにより実現を目指す。
SDGsという軸からビジネスを捉え直すと新たな市場が見えてきます。
『持続可能な社会の課題に、どう向き合っているのか』といったことから、モノの価値が評価されています。
「良い商品を安く」ではなく、倫理的な価値観でモノを選ぶようになります。
社会の課題とどう向き合っているか、地球を維持することに対してどんなふうに貢献できるかなど、課題にコミットしている企業を応援したくて、モノやサービスを買う若者が増えています。
消費者の変化
豊かさの概念が、モノからコトへ変化しています。
コトの豊かさとは、心の豊かさのことです。
自分1人だけでなく、家族やコミュニティー、地球などが共に幸せになることの方が、満足度が高くなります。
自分1人を満足させる、モノが溢れかえる時代も経て、これからは、家族やコミュニティー、地球などが共に幸せになる手段や、商品、サービスなどがより求められるようになるはずです。
SDGsの課題に応えられるようにビジネスを変革しなければ、消費者の共感はえられなくなっていきます。
心の豊かな社会をつくること、そして持続させること、それがこれからのビジネスの使命です。
パーパス
パーパス(purpose)は「目的」や「意図」などと日本語訳されます。
しかし、ビジネスの文脈では、企業の存在意義を示すために用いられることが多いです。
その企業がなぜその事業に取り組んでいるのか、それを社会的な意義から定義したモノです。
パーパスは、内外とのコミットメント「共有価値」を示す言葉と筆者はしています。
ビジネスパートナーは消費者
生活者がビジネスを通して社会課題の解決に参加できる機会は、商品を購入すること、あるいは、キャンペーンの参加があります。消費者にとっては、企業のマーケティングの役割が最も重要です。
持続可能な企業組織となるためにはこれからの消費者たちと、共創、共働し、共生するマーケティングが必須です。
ビジネスパートナーは顧客という意識です。
例えば、顧客や生活者と一緒により良い社会を作ろうとする企業哲学のアウトプットが、商品やサービスとして結実するようになるかもしれません。そうやって企業が発信する商品やサービスはより良い社会へと進むための原動力となるはずです。そういうマーケティングを考え実行できる企業でなければ、生き残ることが難しくなっていくでしょう。
パーパスから出発したマーケティングは参加した全員が心豊かになるようなものや、サービスが次々と生まれるビジネスを実現させていくでしょう。
社会の共通課題解決に対する自分の役割を客観的な視点から見つめることが、結果的には企業のブランド価値を上げていくことになるでしょう。
マーケティングの4Pをアップデート
マーケティングの4P
- Product:製品、サービス、品質、デザイン、ブランドなど
- Price:価格、割引、支払い条件、信用取引など
- Promotion:プロモーション、広告宣伝、ダイレクトマーケティングなど
- Place:流通、チャネル、輸送、流通範囲、立地、品揃え、在庫など
この4Pを最適に組み合わせることで、マーケティングの成果を最大化させることができます。
米国マーケティング協会は、「マーケティングとは、顧客、クライアント、関係者、そして広く社会に価値をもたらすモノ/コトを創造、コミュニケーション、流通、交換するための一連の制度やプロセスのことである」と定義しています。
現在はインターネット、デジタル、SNSなどの活用によって、市場も大きく変わりました。
そして現在ではその4Pにパーパスも付け加え、企業や商品、サービスがなぜ存在するのか、その社会的な大義や価値を示すためのものとしています。
モノの価値を伝えるだけでなく、共感してもらう価値にすることが、マーケティングの重要な役割になってきたのです。
4P×5P
SDGsからマーケティングを考えてみましょう。
Product
資源循環に基づき、製品開発を通じて人間らしい仕事と能力を開発する仕組みを作る。製品やサービスを通じて真の豊かさを創出できるコトやモノを提供する。
×People
生産工程が生産者の搾取や犠牲の上に成り立っていないか?
×Planet
商品は土壌汚染や海洋汚染に影響を与えていないか?
×Peace
ものづくりやサービスは平和に貢献しているか?
×Prosperity
物質的な豊かさだけでなく、心の豊かさを育む商品になっているか?
×Partnership
製品やサービスは専門的な知見や知識及び技術と連携し、子息可能な発展のためのグローバルパートナーシップを強化しているか?
Price
これまでの自社の利益優先の価格設定ではなく、社会的公平や平等性の観点から、製品やサービスの価値を考える。適正な価格設定により、格差社会を助長せず、適切な企業収益を持続的にもたらすお金の循環システムを作る。
×People
仕入れ先を犠牲にする価格設定になっていないか?
×Planet
自然環境に対してフェアな仕入に立脚した価格となっているか?
×Peace
安価な価格を得るための資源搾取や、低賃金による情勢不安を引き起こし、紛争の原因となっていないか?
×Prosperity
不当に自社だけの豊かさを追求した価格と利益確保になっていないか?
×Partnership
パートナーと公平なWIN=WINの価格設定になっているか?
Placement
地球システムの復元や自然資本保全の重要性を認識した上で試乗を捉え直す。運搬から流通、販売チャネルの全てにおいて、包摂的な経済に配慮した社会的共通資本を土台として、市場を定義する。
×People
消費者の利便性や自社の利益を優先し、流通に関わる企業や人に過剰な労働負荷をかけていないか?
×Planet
自社の流通は環境に負荷をかけていないか?
×Peace
流通過程において先住民を含む地域コミュニティーの生活や文化の破壊が生じていないか?
×Prosperity
自社のサプライチェーンに携わるパートナーが豊かな生活を得ることができているか?
×Partnership
商品販売を通じて、生産地と、消費地である都市生活者を、つなぐ仕組みができているか?
Promotion
これまでの製品の認知、販売促進を重視した広告、宣伝手法から、消費者の意識変革と気づきをもたらすプロモーションに転換する。デジタルを含め、あらゆるチャネルを通じてマルチステークホルダーとの共感コミュニケーションを設計し、社会に変革をもたらす価値を発信する。
×People
世界及び国内の貧困や飢餓をなくすためのコミュニケーションを実施しているか?
×Planet
パッケージや広告が資源の無駄につながっていないか?
×Peace
不正取引を防ぐ広報や、法令遵守を伝えるコミュニケーションとなっているか?
×Prosperity
物質的な豊かさの訴求だけでなく、心の豊かな社会を築くことを訴求できているか?
×Partnership
単独のプロモーションではなく、顧客を含むパートナーとの共創を実行できているか?
最後に
本書には、さまざまなSDGs×ビジネスの事例が掲載されています。
これからビジネスを始めようとする人の参考になると思います。
SDGsを意識したビジネスを行うことで、社会問題や課題に対して積極的に関わることができます。
消費者も意識が変わってきているので、モノそのものの価値より、企業価値や社会貢献度から、応援するように、商品を購入することが当たり前になっていくでしょう。
一人一人がこのSDGsに向き合い、今できることをやることで、少しずつ世界を変えていくことができます。
他人事にするのではなく、視野を少し広げて、できることから取り組みましょう。
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