FACT FUL NESS ファクトフルネス 著:ハウス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド 訳:上杉周作、関美和
10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しくみる習慣
こんな人に読んでほしい
- 世の中の変化が怖い人
- 地球の未来が不安な人
- 世界情勢に興味がある人
- 世界のデータを正確に知りたい人
物の見方や情報の捉え方なども学べます。
自分の知識が思い込みにすぎないことに気付かされます。
感想
世界の見方が変わりました。
学校の授業を真面目に受けてきて、知っていると思っていた世界の情勢が、この数年間でも大きく変わっていることに驚かされました。
生の情報は更新していかないと、すぐ古いものになってしまうということに気付かされました。
良くなっていることは、なかなか世の中には広まりにくい、悪い出来事の方がニュースとしてよく伝わってくるというのは、その通りだと思いました。悪い出来事のニュースをたくさん見る中で、世界がこんなによくなっているなんて想像もできていませんでした。
この本を読んだことで、世界や、日常の出来事の見方が変わりました。
世界情勢や、社会の課題が毎日のように、ニュースで報道されて、不安ばかりでしたが、ファクトフルネスのおかげで、出来事のいいところも考えられるようになったし、それは本当に正しい情報か疑うこともできるようになりました。
全てが悪い出来事と悲観するばかりではなく、よくなっていることに目を向けることで、心が穏やかな気持ちになりました。
ファクトフルネスとは
思い込みや先入観にとらわれず、データをもとに正しくみようとすることです。
“ファクトフルネス”という言葉は、作者が作った言葉です。
世界について、皆さんが知っている、思っている状況は、少し古い情報かもしれません。
また情報がアップデートされていないだけではなく、自分の思い込みや先入観によって、物事の見方が限定されてしまっていて、間違った見方をしているかもしれません。
この本で紹介される、思い込みや先入観には以下の10個のものがあります。
- 分断本能
- ネガティブ本能
- 直線本能
- 恐怖本能
- 過大視本能
- パターン化本能
- 宿命本能
- 単純化本能
- 犯人捜し本能
- 焦り本能
これらの本能により、思い込みや先入観で、物事を見ていることに気づき、出来事の見方、データの見方、捉え方を変えていくことを目指します。
そして世界を正しく見ることで、今後の課題、行動、ビジネスについて、正しく取り組むことができるでしょう。
分断本能
世界は分断されているという思い込み
話の中の「分断」を示す言葉に気づくことが大切です。
多くの場合、実際に分断はなく、誰もいないと思われていた中間の部分に大半の人がいます。
大半の人がどこにいるのかを探しましょう。
平均の比較に注意
平均を比較することで、グループを分けようとしていることがあります。
分断されていると思われる2つのグループを比べてみると、実際には2つのグループには重なるところがあり、分断などないことが多いです。
極端な数字の比較に注意
人や国のグループには必ず、最上位層と、最下位層が存在します。
2つの差は残酷なほど、不公平である時もありますが、多くの場合、大半の人や国は、その中間であり、上でも下でもないところに位置しています。
上からの景色であることを思い出そう
高いところから低いところを見ると、どれも同じくらい低く見えますが、実際には高さは違います。
ネガティブ本能
世界はどんどん悪くなっているという思い込み
ネガティブなニュースの方が圧倒的に耳に入りやすいと覚えておきましょう。
物事がよくなっていったとしても、そのことについて知る機会は中々ありません。
その結果、世界について実際より悪いイメージを抱き暗い気持ちになってしまいます。
悪いとよくなっているは両立する
「悪い」は現在の状況、「よくなっている」は変化の方向です。
「よくなっているけれど、悪い」という状況は存在します。
この2つを見分けられるようになり、両立し得ることを理解しましょう。
良い出来事はニュースになりにくい
ほとんどの良い出来事は報道されません。
財布を盗んだことはニュースになっても、落とした財布を拾って渡してあげたことはニュースになりません。
悪いニュースを見た時には、同じくらい良い出来事も自分のところまで届くだろうか?と考えてみましょう。
悪いニュースが増えても、悪い出来事が増えたとは限らない
悪いニュースが増えた理由は、世界が悪くなったからではなく、監視の目がより届くようになったからかもしれません。
美化された過去に気をつけよう
人々は過去を美化したがり、国家は歴史も美化したがります。
直線本能
グラフは真っ直ぐになるだろうという思い込み
世界の人口はひたすら増え続けると言うのは思い込みです。
実際には、グラフでは直線グラフの方が珍しいです。
何でもかんでも直線グラフに当てはめないようにしましょう。
そのためにはグラフにはさまざまな形があることを知っておく必要があります。
S字カーブ、すべり台形、コブ形、倍増形の方が直線よりもよく当てはまります。
直線もいつかは曲がるということを知っておきましょう。
恐怖本能
危険でないことを恐ろしいと考えてしまう思い込み
恐ろしいものには自然と目がいってしまいます。
「恐怖」と「危険」は違うと言うことに気付きましょう。
恐怖本能を抑えるには、リスクを正しく計算することが大切です。
現実を見よう
世界は恐ろしいと思う前に、現実を見てみましょう。
メディアや、自分のフィルターのせいで、恐ろしいような情報ばかりが届いています。
リスクは「危険度」と「頻度」
これは、リスクの「質」と「量」の掛け算です。
恐ろしさはリスクとは関係ありません。まずはリスクを計算しましょう。
行動する前に落ち着こう
恐怖でパニックになると、物事を正しく見れなくなります。
パニックが収まるまで、大事な判断をするのは避けましょう。
過大視本能
目の前の数字が一番重要だという思い込み
ただひとつの数字がとても重要であるかのように勘違いしてしまうことに気づきましょう。
そのためには、他の数字と比較したり、割り算したりすることにより、同じ数字から全く違う意味を見出しましょう。
比較しよう
大きな数字はそのままだと大きく見えます。
ひとつしかない数字は間違いのもとですので、必ず疑いましょう。
80:20のルールを使おう
項目が並んでいたら、最も大きな項目だけに注目しましょう。
多くの場合は小さな数字を無視しても差し支えありません。
違う大きいグループと比べるときは割り算して一人当たりに注目しよう
世界の比べると、ある国だけ数字が大きいということがあるかもしれませんが、それは国のせいだとは言い切れません。人口でわり、一人当たりで計算することで、実はそんなに違いがないことがわかるかもしれません。
パターン化本能
ひとつの例が、すべてに当てはまるという思い込み
ひとつの集団のパターンを根拠に物事が説明されていたらそれに気づきましょう。
パターン化は間違いを生み出しやすいです。
間違ったパターン化を抑えるには分類を疑うといいです。
同じ集団の中にある違いを探そう
集団が大規模の場合は特により小さく、正確な分類に分けた方がいいです。
違う集団の間の共通項を探そう
異なる集団の間に、ハッとするような共通点を見つけたら、その分類自体が正しいかどうかを改めて問い直そしましょう。
違う集団の間の違いも探そう
過半数に気をつけよう
過半数は半分より多いということです。それが、51%なのか、99%なのか、そのどこかは確かめた方がいいでしょう。
強烈なイメージに注意
強烈なイメージを連想させてしまうことは、それは例外かもしれないと疑った方がいいでしょう。
自分以外はアホだと決めつけないようにしよう
人々がそれぞれどんな考えを持ち行動しているかは、違う考え方のあなたにはわからないのかもしれません。
変だなと思うことがあったら、好奇心を持ち謙虚になって考えてみましょう。
それは賢いやり方なのか、なぜなのか、自問してみましょう。
宿命本能
すべてはあらかじめ決まっているという思い込み
いろいろなもの(人、国、宗教、文化)が変わらないように見えるのは変化がゆっくり少しずつ起きているからだということに気づきましょう。
そして小さな変化が積み重なれば、大きな変化になるということを覚えておきましょう。
ゆっくりとした変化でも、変わっていることを意識しましょう。
小さな変化を追いかけよう
毎年少しずつ変化していれば数十年で大きな変化が生まれます。
知識をアップデートしよう
賞味期限がすぐに切れる知識もあります。
テクノロジー、国、社会、文化、宗教は刻々と変わり続けています。
おじいさんやおばあさんに話を聞こう
価値観が昔と今で、どれほど変わっているかを改めて確認することができます。
文化が変わった例を集めよう
「文化は変わらない、これからも同じだ」と言われたら、文化が変わっているという逆の例をあげてみましょう。
単純化本能
世界は一つの切り口で理解できるという思い込み
一つの視点だけでは世界を理解できないと知りましょう。
さまざまな角度から問題を見た方が物事を正確に理解できるし、現実的な解を見つけることができます。
なんでもトンカチで叩くのではなく、さまざまな道具の入った工具箱を準備しましょう。
自分の考えを検証しよう
自分の意見を正しいと示す例ばかり集めるのではなく、意見の合わない人に考え方を検証してもらい、自分の弱点を見つけましょう。
知ったかぶりはやめよう
自分の専門分野医げいのことを知った気にならない方がいいでしょう。
その道のプロであっても、専門分野以外のことは案外知りません。
めったやたらにトンカチを振り回すのはやめよう
何か一つの道具が器用に使える人は、それを何度でも使いたくなるものです。
でもそれが全てに使えるわけではありません。
違う分野の人の意見に心を開いてください。
数字は大切だけれど、数字だけに頼ってはいけない
数字を見なければ世界を知ることはできないが、数字だけでは世界を理解できません。
単純なものの見方と単純な答えには警戒しよう
複雑さを受け入れ、違う考え方も組み合わせましょう。
犯人捜し本能
誰かを責めれば物事は解決するという思い込み
誰かが見せしめとばかりに責められていたら、そのことに気づきましょう。
誰かを責めても問題は解決しません。
誰かを責めることで、他の原因に目が向かなくなり、将来の同じ間違いを防げなくなってしまいます。
犯人ではなく原因を探そう
その状況を生み出した、絡み合った複数の原因やシステムを理解するようにしましょう。
ヒーローではなく、社会を機能させている仕組みに目を向けよう
犯人の逆である、ヒーローを褒める時も、その人だけが何かをしたとは考えにくいです。社会の仕組みを支えている人たちの功績をもっと認めましょう。
焦り本能
いますぐ手を打たないと大変なことになるという思い込み
今すぐに決めなければならないと感じたら、自分の焦りに気づきましょう。
いますぐ決めなければいけないということは滅多にありません。
深呼吸しよう
焦ると冷静に分析できなくなってしまいます。時間をかけて、情報をもっと手に入れましょう。
データにこだわろう
正確で重要なデータを見つけましょう。
占い師には気をつけよう
未来の予測は不確かなものです。不確かであることを認めない予測は、疑った方が良いでしょう。
過激な対策に注意しよう
大胆な対策をとった時の副作用も考えましょう。
ドラマチックな対策よりも、地道な一歩に効果があります。
最後に
ファクトフルネスでは、最初に問題があります。その答えで正解を出せるのは、人間では、猿以下の割合だったそうです(猿でも33%は正解できる)。
いかに人間が、思い込みや、過去の情報で、今現在の世界を間違って見ているということがわかります。
正しい情報を得る方法と、正しいデータ分析を身につけることで、世界情勢だけにとどまらず、仕事での分析にも役立てることができると思います。
ファクトフルネスを読んで、気づきを得て明日からの世界の見方が変わることを願っています。
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